オーダーメイドキーボードが
できるまで
オーダーメイドキーボードは、既製品を組み替えるのではなく、 使う人の手に合わせて筐体そのものを設計するキーボードです。 ここでは「カスタム」との違いから、採寸・設計・仮縫い・製作という 実際の工程、価格の決まり方までを順に説明します。
「カスタム」と「オーダーメイド」は別のもの
キーボードの文脈で「カスタム」と言うとき、多くは次のことを指します。
- キースイッチを好みの軸に替える
- キーキャップを好きな色・素材にする
- ケースの色や材質を選ぶ
- キーマップを自分用に書き換える
どれも楽しい作業ですが、共通しているのは キーの位置が変わらないことです。 土台となる基板と筐体は既製品のままで、その上に乗るものを選んでいます。
オーダーメイドは、その土台のほうを作ります。 どのキーをどこに、どの角度で、どの高さに置くか。 それを使う人の手に合わせて決めるので、 同じ形のものが二つとありません。
| カスタムキーボード | オーダーメイドキーボード | |
|---|---|---|
| 変えられるもの | スイッチ、キーキャップ、色、キーマップ | キーの位置・角度・高さ、筐体形状 |
| 土台 | 既製の基板・ケース | 個別に設計 |
| 手に合わなかったとき | 打ち方を合わせるしかない | 形のほうを変える |
| 納期 | 即日〜数日 | 数週間 |
どんな人が頼むのか
オーダーメイドは最初の1台で選ぶものではありません。 実際にご相談いただく方には、共通した経緯があります。
- 市販のエルゴノミクスキーボードを買ったが、手の大きさが合わなかった
- 分割キーボードに替えて肩はラクになったが、小指や薬指の無理が残っている
- 立体型の自作キットに興味はあるが、3Dプリントや組み立てのハードルが高い
- 手が極端に大きい、または小さく、既製品の想定から外れている
- 指の長さの比率が標準的でなく、どの配列もどこかが届かない
つまり、選択肢を一通り試した上で、合うものがなかった人です。 逆に言えば、既製の分割キーボードで満足している方には必要ありません。
採寸から納品までの5工程
鍵立では、オーダースーツと同じ順序で進めます。 仮縫いを挟むのも同じ理由です。
壱. ご相談 — 無料
フォームから、希望の構成をお知らせいただきます。 左右セットか片手か、キースイッチ、キーの行数、 テンティング(傾き)の好み。決まっていなければ「相談して決めたい」で構いません。 この時点で料金は発生しません。
弐. 採寸 — 無料
専用の採寸シートをA4用紙に印刷し、その上に手を置いて、 スマートフォンで撮影して送っていただきます。 これだけです。定規で測ったり、数値を記入したりする必要はありません。 中手骨や指節の長さ、関節の位置といった骨格データの読み取りは、こちらで行います。
参. 設計案の3D確認 — 無料
採寸データを独自のパラメトリック設計ソフトに入力すると、 指ごとの長さと関節位置に応じて、キーの位置・角度・高さが1キーずつ導出され、 筐体形状が生成されます。
できあがった設計案は、ブラウザ上で回して見られる3Dビューアのリンクでお送りします。 実物を作る前に、形を確認していただくための工程です。 ここまでが無料で、料金が発生するのは設計をご承認いただいた後からです。
四. 仮縫いキットでフィッティング
入金確認後、まずキープレート部分だけの試作をお届けします。 実際に指を置いて、キーに届くか、無理な角度がないかを確かめていただきます。 違和感があればフィードバックをいただき、設計を調整してから本組みに進みます。
画面の3Dモデルと、実際に指を乗せた感覚は違います。 「届いたけど合わなかった」を仕組みで防ぐための工程です。 3Dビューアでの確認だけで十分という方は、この工程を省いて、その分をお値引きします。
五. 本製造・お届け
確定した設計で筐体を3Dプリントし、組み上げてお届けします。 3Dプリンタや電子工作の知識は不要です。完成品が届きます。
お申し込みからお届けまでは約4〜6週間。 仮縫いでの調整回数によって前後します。
価格はどう決まるか
オーダーメイドの価格は、主に次の要素で変わります。
- 構成 — 左右セットか、片手のみか
- キー数 — 行数が増えればスイッチもキーキャップも増えます
- キースイッチの種類 — 軸によって単価が違います
- 仮縫いキットの有無 — 省けばその分安くなります
- 追加要素 — トラックボールなどを組み込む場合
鍵立は現在モニターオーダー期間中のため、 構成をお伺いした上で個別にお見積りしています。
相談・採寸・設計案の確認まではすべて無料です。 見積もりを見てから決めていただけます。
依頼前に決めておくこと
全部決まっている必要はありませんが、 次の点について今の考えがあると、最初のやり取りが早く進みます。
| 項目 | 考えておくとよいこと |
|---|---|
| 構成 | 左右セットか、片手だけか。右手はマウスを使うので左手だけ、という選び方もあります |
| キースイッチ | MX互換(標準サイズ)かChoc(ロープロファイル)か。背の高さが変わります |
| キーの行数 | 3行(コンパクト)か4行(数字行あり)か。レイヤー操作に抵抗があれば4行が無難です |
| テンティング | ほぼフラットか、しっかり立てたいか。前腕のねじれが気になるなら強めを |
| 今の不調 | どの指が、どの動作でつらいか。設計に直接反映されます |
よくある疑問
自分で組み立てる必要はありますか
ありません。完成品をお届けします。はんだ付けも3Dプリントも不要です。
採寸は難しくないですか
A4に印刷したシートに手を置いて、スマートフォンで撮るだけです。 特別な道具は要りません。
手が小さい(大きい)のですが作れますか
むしろそういう方のための仕組みです。 既製品が合わない原因の多くは、平均からの距離にあります。
キーマップは変更できますか
構成によって変わるため、ご相談時に確認させてください。
腱鞘炎なのですが、治りますか
キーボードは医療機器ではないため、症状の治療や改善をお約束することはできません。 すでに痛みやしびれがある場合は、まず医療機関にご相談ください。 そのうえで、立体・左右分割という形状は、 長時間のタイピングによる手首や肩の負担を減らす目的で選ばれることの多い形です。